惣毛立そうけだ)” の例文
肩にした丸太に駕籠の屋根を支える竹が触ってぎっ、ぎっときしむ音を耳近く聞いた時、三次は何となく背中に水を浴びたように全身惣毛立そうけだつのを感じたという。
次第に近づいてくる竹のは、一味冷徹な鬼気を流してきて、そこに、つばぶるいをひそめる者、柄糸つかいとへ唇をつける者などの血汐をいよいよ惣毛立そうけだたせ、いよいよたけくジリジリとき騒がせる。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)