恍乎うつとり)” の例文
お定は暫時しばし恍乎うつとりとして、自分の頬を天鵞絨の襟に擦つて見てゐたが、幽かな微笑ほほゑみを口元に漂はせた儘で、何時しか安らかな眠に入つて了つた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
枕に就くと、今日位身体も心も急がしかつた事がない様な気がして、それでも、何となく物足らぬ様な、心悲うらがなしい様な、恍乎うつとりとした疲心地で、すぐうと/\と眠つて了つた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)