怯々おずおず)” の例文
すると、そこに何事か異常なものが予期されてきて、二人の顔に、なかば怯々おずおずとした生色が這い上っていった。法水は静かに云った。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
茶をんで来た御部屋坊主は、常々直弼に愛されている男であったが、今朝は人が違ったように怯々おずおずして、天目を進める手は見えるほど震えていた。
城中の霜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
源内先生は、入口に近いところで中腰になったまま、怯々おずおずとこの物凄い光景を眺めていたが、間もなく何時ものような落付いた顔付になり、ノソノソと死骸の方へ戻って来て
それに次いでセレナ夫人が口を開いたけれども、彼女は両手を怯々おずおずと胸に組み、むしろ哀願的な態度で云った。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
然し、その——怯々おずおずと入って来る老人を見ると、熊城は法水の耳に何やら囁いた。
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
すると、時江は怯々おずおずと顔を上げ、低いかすれたような声で、あねに云った。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)