怪奇かいき)” の例文
だが、かれのそうした自信も、一方では荒田老という怪奇かいきな人物の出現によって、他の一方では道江の上京の通知によって、ゆずぶられはじめていた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
だちょうはおどろいてサービスの頭を、その怪奇かいきなくちばしで二つ三つつついた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
私の眼は富士の左の方に一際高く挺立ていりつしているかと想われるや円錐形の山に惹き付けられた。北の槍ヶ岳のように怪奇かいきではないけれども、凜々りりしく引き締った威厳のある山だ。それに高さも高い。
北岳と朝日岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
△幽霊の消える擬音ぎおん怪奇かいき音楽よろしくあって……。
新学期行進曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その一つは、荒田老のであり、もう一つは、星章せいしょうを光らした大型の陸軍用であった。荒田老は、例によって鈴田すずたに手をひかれながら、黒眼鏡の怪奇かいきな顔をあらわした。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
やがて式場に案内されて着席してからの荒田老の姿は、まさに一個の怪奇かいきな木像であった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)