急々つかつか)” の例文
と脱兎のごとく、かねて計っていたように、この時ひょいと立つと、肩を斜めに、衣兜かくしに片手を突込んだまま、急々つかつかと床の間に立向うて、早や手が掛った、花の矢車。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
時に、ひっそりした横町の、とある軒燈籠の白いあかりと、板塀の黒い蔭とにはさまって、ひらたくなっていた、頬被ほおかむりをした伝坊が、一人、後先をみまわして、そっと出て、五六歩行過ぎた、早瀬の背後うしろへ、……抜足で急々つかつか
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)