徒労むだ)” の例文
旧字:徒勞
友達の好意は幸い徒労むだにならずに済んだ。健三の借り受けた四百円の金が、細君の父の手に入ったのは、それから四、五日経ってのちの事であった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お松 (お吉に)およしおよし、あの人のおかぶなんだ。何をいったって徒労むださ。やけくそな女なんだからねえ。
一本刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
しかし、結果は徒労むだだった。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
やはり徒労むだであった。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
さいわいにしてその言葉は徒労むだに繰り返されなかった。彼はどうかこうか給仕にならずに済んだ。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)