後妻うわなり)” の例文
はだがあたたかじゃに因って人間よ、冷たければ天女じゃ、と皆いうのじゃがの、その長者どのの後妻うわなりじゃ、うわなりでいさっしゃる。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、お京さんが、むこうの後妻うわなりの目をそらして、格子を入った。おぶさったお前さんが、それ、今のべっかっこで、妙な顔……
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
向うかどに立っている後妻うわなりに、はかない恋をせかれて、五年前に、おなじ淵に身を投げた、優しい姉さんのようにも思われた。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
背中へ、べっかっこで、(ばあ。)というと、カタカタと薄歯の音を立ててうちン中へ入ったろう。私が後妻うわなりに赤くなった。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「か、知らぬか、のう。二度添とはの、二度目の妻の事じゃ。男に取替えられた玩弄おもちゃ女子おなごじゃ。古い手に摘まれた、新しい花の事いの。後妻うわなりじゃ、後妻ごさいと申しますものじゃわいのう。」
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)