当路とうろ)” の例文
それは千金の価があった。王はそれを出して当路とうろの者に賄賂に贈ろうとしていた。小翠はそれが好きで平生いじっていたが、ある日それを取りおとして砕いてしまった。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
当路とうろの役人ほど馬鹿な事を考える人間はない。東京なる都市の体裁、日本なる国家の体面に関するものを挙げたなら貧民窟の取払いよりも先ず市中諸処に立つ銅像の取除とりのけを急ぐが至当であろう。
何故に王家の国廟こくびょうには舜天王しゅんてんのうの神位を中尊とし、それに先だつ二十五世の天孫氏をまつらぬのか、というのが論点であって、少なからず当路とうろを悩ませたらしいが、結局前年の江戸幕府の問合せに対して
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
当路とうろの吏大本教を禁ぜんとするの心よく韓愈の如く松平豆州の如くならば何ぞ其の措置の如何を問わんや。酷なるを以て可とせば寸毫も許す処あるなかれ。事の是非は唯法を行うものの心に在り。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)