弥平やへい)” の例文
旧字:彌平
藤棚の日蔭へ盆栽を持ち込んで、パチン、パチン、はさみを鳴らしている植木屋の弥平やへいは、ヒョイと入って来た人を見て、挨拶もせず奥の方へ駈け込んでしまった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
目証めあかし弥平やへいはもう長いこと村に滞在して、幕府時代のひくい「おかっぴき」の役目をつとめていた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しかし、それを彼らの工場主前田弥平やへい氏は全然認めてくれないのだった。彼のそういう態度は、花はもう散ろうとしているのに、その花を蕾として認めているようなものであった。
仮装観桜会 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)