引出ひきで)” の例文
山県蔦之助やまがたつたのすけどのとやら、まことにかたじけのうござった。そもいかなるお人かぞんじませぬが、おことばに甘えて初見参ういげんざんのお引出ひきでもの、たしかにちょうだいつかまつった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しっかりしろ、生命いのちと亭主は二ツなしだ。おれが若い時の、罪障がむくったっぺ、可いわ、娘の支度と婿殿へ引出ひきでものをかねて、一番、宝船をいでまかしょ、お正月だ、祝えッて、大酒をのんだんです。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)