弔問ちょうもん)” の例文
しかし、弔問ちょうもん客が来て、その顔の覆いが取りのけられるごとに、彼の眼にまざまざとうつるものは、まぎれもなく、氷のような死顔であった。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
孔明が戦場で死んだと聞いたとき、この譙周しょうしゅうはその夜のうち成都を去って、はるばる途中まで弔問ちょうもんに駈けつけて行った。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが警部の一行と行き違いに、片倉老人は家人につきそわれ、車にゆられて、主家へ弔問ちょうもんに来たのである。もう歩行にも殆ど困難な病体だった。
不連続殺人事件 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
正三郎は父に弔問ちょうもんを頼んで登城し、葬儀も父に代ってもらった。
饒舌りすぎる (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
主君玄徳は、貴方を弔問ちょうもんの賓客として、ねんごろにもてなそうとしているのに、あらわにいうを避けておいで遊ばすゆえ、私が代って一応の道理を申しのべよう。心をしずめてよく聞き給え
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)