式代しきだい)” の例文
吹き消されたようにゆらめく火の光りで、かれらは門前に立つ三人の姿をとくと見さだめた上で、うやうやしく式代しきだいして奥へ案内した。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
頼長にあごで招かれて、藤内兵衛遠光とうないひょうえとおみつは烏帽子のひたいをあげた。彼は信西入道を仰ぎ見て、更にうやうやしく式代しきだいした。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それはやはり武蔵守の家来で、去年の河原いくさには足軽大将をうけまわったのを誇りとしている荏原えばら権右衛門であった。彼はすぐに鞍壺からひらりと降り立って、姫の前にうやうやしく式代しきだいした。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)