廚房ちゅうぼう)” の例文
十九、恥ずかしながらわが敵は、廚房ちゅうぼうに在り。之をだまして、怒らせず、以てわが働きの貧しさをごまかそうとするのが、私の兵法の全部である。
花吹雪 (新字新仮名) / 太宰治(著)
この地方の風と見えて、廚房ちゅうぼうだけは別棟になっているが、それが四面皆竪格子たてごうしで囲んだ妙な作りである。
子供の時に彼の家の廚房ちゅうぼうで、大きなかまどの下に燃えているのを見た、鮮やかな黄いろい炎である。「ああ火が燃えている」と思う——その次の瞬間には彼はもういつか正気しょうきを失っていた。………
首が落ちた話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)