庶民しょみん)” の例文
金博士は、庶民しょみん階級がすきだと見えて、いつになく短気を出さず、淳々じゅんじゅんとして丘へあがった船上で、通俗講演つうぞくこうえんを一くさりぶったのであった。
先生のいうところでは、「田沼さんは、聖賢せいけんの心と、詩人の情熱とをかねそなえた理想的な政治家」であり、「明治・大正・昭和を通じて、日本が生んだ庶民しょみん教育家の最高峰さいこうほう
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
けれど中堅の新進部将のうちには、彼に対する正当な評もあり、尊敬も持たれていることは確かで、就中なかんずく、官兵衛をして「この人こそ」と信頼させたものは、城下の庶民しょみんの声である。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だけが、ひんぱんに、左右へうごいた。ときには、何かへお眼をとめて、ホホ笑まれたりされるのだった。——と知ると、道ばたの庶民しょみんも、上皇の視線の先をさぐって、一しょに笑い合った。