庚戌かのえいぬ)” の例文
嘉永庚戌かのえいぬ、七月、山村菱秋書という落款らくかんで、半七先生に贈ると書いてあるのも何だかおかしいようにも思われた。
半七捕物帳:35 半七先生 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
十日、庚戌かのえいぬ、将軍家御疱瘡、すこぶる心神を悩ましめ給ふ、これに依つて近国の御家人等ごけにんら群参ぐんさんす。廿九日、己巳つちのとみ、雨降る、将軍家御平癒へいゆの間、御沐浴もくよく有り。(吾妻鏡あずまかがみ。以下同断)
鉄面皮 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「庚戌泊于伊豫熟田津石湯行宮」とある庚戌かのえいぬは十四日に当る。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
第一この草紙の表紙になんと書いてある。庚戌かのえいぬ、正月、なお……このなおというのはだれの名だ。世間におなじ名はあっても、ここでこの草紙を見つけた以上は云い抜けはさせねえ。
半七捕物帳:35 半七先生 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)