年魚あゆ)” の例文
紀州有田川の源流へ高野こうやの坊主輩が便利する、由ってこの川の年魚あゆが特に肥え美味だなど伝うると等しく多少拠る所があったものか。
殿堂金碧の美なしとはいへ、おのづから粛穆しゆくぼくの趣あり。俯して谷川をのぞむ、皇后そのかみの卯月、河の中の磯にいまして年魚あゆを釣りたまひけるところ。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
(その河の名を小河といふ。またその磯の名を勝門比賣といふ。)かれ四月の上旬の時、女ども裳の絲を拔き、飯粒を餌にして、年魚あゆ釣ること今に至るまで絶えず。
その河の年魚あゆを釣りたまひき。