年明ねんあ)” の例文
おなじ年明ねんあきを引摺り込むにしても、もう少し眞人間らしいのを連れて來ればいゝのに、權三の奴めも見かけによらねえはならし野郎だ。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
亀吉の精悍せいかんさが眼立ちもしたが、平三の背景は亀吉とちがって、おおかめさんの連合つれあいが若い時分、吉原の年明ねんあけの女郎が尋ねてきたのを、車力宿で隠囲かくまってやっていたというのが、不心得で
「もうこれで年明ねんあけか。随分引っ張り廻したね」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「お前とわたしの名を浄瑠璃に唄われとうはない。わたしが二十五の年明ねんあけまでは、おたがいに辛抱が大事でござんすぞ」
心中浪華の春雨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
もう年明ねんあけ前でもあったが、それでも何やかやで三十両ばかりの金がいるので、豊吉は抱え主にたのんで先ず半金の十五両を入れて、女を自分の方へ引き取ることにした。
半七捕物帳:28 雪達磨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
彼女は品川の女郎あがりで、年明ねんあきの後に六本木の明石鮨へ身を落ちつけたのである。
半七捕物帳:65 夜叉神堂 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
運んだ効能はある。それでもう大抵見当けんとうは付いたが、今度はその鬼っ児の出どころだ。いや、それもすぐに判るだろう。それでお前の方はもう年明ねんあけらしい。おれは脇へ廻るからここで別れようぜ
半七捕物帳:17 三河万歳 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
隣りの家で訊いてみると、元はよし原に勤めていたお京という女で、年明ねんあきの後に槌屋という質屋の隠居の世話になって、囲い者のように暮らしているんです。それからはいって行って調べました。
半七捕物帳:56 河豚太鼓 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)