私は、この小説を当然の存在にまでぎつけるため、泣いたのだ。私は、死ぬるとも、巧言令色こうげんれいしょくであらねばならぬ。鉄の原則。
めくら草紙 (新字新仮名) / 太宰治(著)
しかし聖賢はこれを巧言令色こうげんれいしょくというね。逃げた土地の先住民は大迷惑であるし、洪水にまかせる大沃野だいよくやは実利の大損だ。
武者ぶるい論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
もしくは巧言令色こうげんれいしょくの人に接したあとで無為に化する人に逢ったような、深い喜びを感ずるであろう。
(新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
しかも、今の彼たるや人臣の栄爵を極め、その最高にある身だけに、その巧言令色こうげんれいしょくにたいする歓びも受けいれかたも、とうてい、宮門警手の一上官などの比ではない。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なおこれと関連して世に誤解された教訓は、「巧言令色こうげんれいしょくすくないかなじん」ということである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
巧言令色こうげんれいしょくをお喜びになる傾向がある。困ったものです」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
巧言令色こうげんれいしょくの徳を信じていたので、一時間ほど、かの友人の背中さすって、尿器にょうきの世話、将来一点の微光をさえともしてやった。
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)
巧言令色こうげんれいしょくの人、阿諛謟佞あゆてんねいの人」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)