嵌入かんにゅう)” の例文
その光景とは一見直接には関係しない純主観の一首を漢詩の転句とでもいったふうにモンタージュとして嵌入かんにゅうしたのもある。
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
鼻はパラフィンの注入や、象牙ぞうげ嵌入かんにゅうでどんな形にでもなります。私の鼻がもう少し低くて、軟かいカーブを描いて居たとしたらどうでしょう。
葬送行進曲 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
まず相手方から撃ちだしたが、その際、俺は怯懦きょうだな畏怖心に襲われ、思わず頭を右に傾けたので、飛来した弾丸は右の顳顬こめかみ耳殻じかくを破壊し、首と肩の間に嵌入かんにゅうした。
湖畔 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
殊に注意を払わなければならないのは、茶碗の主体に丹礬釉が嵌入かんにゅうされて、三個の雲形を見せていることであるが、これはこの種の茶碗としては、あるいは類例のないことではないかと思う。
古器観道楽 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)