尼僧あま)” の例文
だから、尼僧あまともつかず、大黒だいこくともつかず、と言つて普通のうちの細君でもなし——まあ、門徒寺もんとでらに日を送る女といふものは僕も初めて見た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ふり返って見ますると五十歳ぐらいの、墨染めの法衣ころもに黒の頭巾をかむった、気高いような尼僧あま様が数珠をつまぐりながら、しずかに歩いておるのでした。
犬神娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
何時も黒い頭巾づきんをかぶつた尼僧あまの影
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
尼僧あま様」とわたしは声をかけました。「突然失礼ではございますが、あれに見えます土塀のかかったお屋敷は、どなた様のお屋敷でございましょうか?」
犬神娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、そう尼僧あま様が云いましたので、わたしは尼僧様の方へ眼をやりました。尼僧様は歩き出しておりました。
犬神娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)