尨大ばうだい)” の例文
小さい窓に雪の降りこめてゐるのを眺め、富岡は、尨大ばうだい威嚇的ゐかくてきな人間社会の切断面をのぞいた気がした。自分の心は何処にもない。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
黒岩の頂は惜しくも雲に隱されたが、其の尨大ばうだいな山容と、見下ろす黒澤の谷はひし/\と身に迫る樣な深い趣があつた。
黒岩山を探る (旧字旧仮名) / 沼井鉄太郎(著)
海を越した鈴鹿山脈には、雪が白く、右に偏つて尨大ばうだいな伊吹山の半ば白くなつてゐるのが手に取るやうに見えた。
知多の野間で (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)