小悪こにく)” の例文
旧字:小惡
宗助は縁から跣足はだしで飛んで下りて、小六の頭をなぐりつけた。その時から、宗助の眼には、小六が小悪こにくらしい小僧として映った。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
婆「なにい、あんな者に上手じょうずつかうからいけねえ……あなた本当に此のはお客の前へ出るとはら/\する性質たちでいけません、あんな小悪こにくらしいぎす/\した奴は有りません」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
けれども泣くくらいだから、どこか不安な所があるのだろう。聞いていると、しまいにはこっちが不安になって来る。時によると小悪こにくらしくなる。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれども彼の不思議に感じたのは、これほどの激語を放つ主人の態度なり口調なりに、ごうも毒々しいところだの、小悪こにくらしい点だのの見えない事であった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)