富有ふゆう)” の例文
「そうはいわさん。国府の調べでも、また近国の目でも、新田ノ庄ほど富有ふゆうな所はないとみないっておる」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
真の富有ふゆうは、清貧以外にはあり得ない。宗教におけるこの法則は工藝においてもまた法則だと云えないだろうか。ここに掲げる一個は彼らが熱愛したものの真の兄弟である。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
またすべての青年の権利たる教育がその一部分——富有ふゆうなる父兄をもった一部分だけの特権となり、さらにそれが無法なる試験制度のためにさらにまた約三分の一だけに限られている事実や
廃藩の後、士族の所得はおおいに減じて一般の困迫こんはくというといえども、もしも今の上士の家禄を以てこれを下士に附与ふよして下士従来の活計を立てしめなば、三、五年の間に必ず富有ふゆうを致すことあるべし。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)