“宛子”の読み方と例文
読み方割合
えんし100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と、お互い、なぐさめ合ってはいたものの、泊中をつつむ悲愁の気、宛子えんし城の一帯をおおう敗色の深刻さ、それだけは、どうにもならない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一時、したたかに水を呑んで、昏々こんこんの状におちていた凌振だったが、はっと気づくと、ここは宛子えんし城中の一閣、賊寨の聚議庁ほんまる、たしかに、虜囚とらわれとなった自分に相違ない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うねうね登って行くほどに、紅紗こうさ燈籠とうろう二、三十基がおぼろに彼方へ見え出してくる。おそらくは宛子えんし城の大手か。外門を入ると、音楽がきこえ、一群の騎馬列が照らし出されている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)