定斎屋じょさいや)” の例文
うるさく病む眼の邪魔になって、蝙蝠こうもりがおちこち飛び交していた。薬売の定斎屋じょさいやが、宣伝の薬筥くすりばこかんの鳴りを止めてしずかに帰ってゆく。
美少年 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
東京で震災前までは深川ふかがわへんで見かけたことのあるあの定斎屋じょさいやと同じようなものであったらしいが、しかし枇杷葉湯のあの朱塗りの荷箱とすがすがしい呼び声とには
物売りの声 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
汗ばんで来たなと思うころには、カタカタと音をさせて、定斎屋じょさいやがくる、甘酒売りがくる。