しと)” の例文
藤川の女将おかみは、年のころ五十ばかりで、名古屋の料亭りょうていの娘といわれ、お茶のたしなみもあるだけに、挙動はしとやかで、思いやりも深そうな人柄な女であった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
湯島時代に彼女は店の用事にかこつけ、二日ばかり帰らぬ松島を迎えに行き、小菊にったこともあったが、逢ってみると挨拶あいさつしとやかなので、印象は悪くなかった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
二人は照れてしまったが、葉子は部屋の空虚をたすために、つとめて話をしかけた。そこへ真白に塗った小夜子が、絵羽の羽織を着てしとやかに入って来た。そして入口のところに坐った。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)