嫖客きゃく)” の例文
吉原の情婦おんなにでも逢いに行く嫖客きゃくを乗せて行くものらしい。が、彼はそんなことにも気がつかなかった。にぎやかなくるわを横目に見ながら、そのまま暗い土手の上を歩きつづけた。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
けれども其処にいるとすれば、何れ長田のことだから、此の間も、あの「本当に何処かへ行くか知らん?」と言っていた処を見ると、遣って行くに相違ない。その他もとより種々いろん嫖客きゃくに出る。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
店の女たちが珍しいので、私にも、私にもといって買い、格子先に立ってる嫖客きゃくなどが、では、俺等おれたちも買おうと買ったりして、旨くはけてしまったので、私も大いに手軽になってよろこびました。