妄誕まうたん)” の例文
近代の御伽おとぎ百物語の徒に至りてはその志やすでにろうかつ決してその談の妄誕まうたんにあらざることを誓ひ得ず。ひそかにもつてこれと隣を比するを恥とせり。要するにこの書は現在の事実なり。
遠野物語 (新字旧仮名) / 柳田国男(著)
桂川中良も亦知らざるなり。今東光も亦知らざるなり。知らざるを以て知らざるをわらふ、山客亦何ぞ嗤はざるを得んや。あんずるに鍾馗しようき大臣の如き、明皇めいくわう夢中に見る所とすはもとより稗官ひくわん妄誕まうたんのみ。
八宝飯 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)