妄想ぼうそう)” の例文
度々怪しからん事を想って、人知れず其を楽しんで居たのは事実だけれど、勧業債券を買った人が当籤とうせんせぬ先から胸算用をする格で、ほんの妄想ぼうそうだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
一生の運の定まる時と心附いたのか? そもそもまた狂い出す妄想ぼうそうにつれられて、我知らず心を華やかな、たのしい未来へ走らし、望みを事実にし、うつつに夢を見て、嬉しく
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その不満足の苦をのがれようと気をあせるから、健康すこやかな智識は縮んで、出過た妄想ぼうそうが我から荒出あれだし、抑えても抑え切れなくなッて、遂にはまだどうしてという手順をも思附き得ぬうちに
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
この数週すしゅうの間妄想ぼうそうでなければ言葉をまじえた事の無いお勢に今思い掛なくやさしく物を言いかけられたので、文三ははっと当惑して我にも無く立留る、お勢も返答の無いを不思議に思ってか
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)