観心寺かんしんじ如意輪観音にょいりんかんのんに密教風の神秘性が遺憾なく現われているとすれば、あの観音に似た感じのあるこの像も密教芸術の優秀なものに数えていいであろう。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
現に戒律のやかましい僧院で、天使の像に恋をしたという例もあり、私の友人のBという男は、勿体もったいなくも中宮寺の国宝如意輪観音にょいりんかんのんに恋をしたことさえあるのです。
治承元年五月五日、叡山の座主、明雲めいうん大僧正は、宮中の出入りを差しとめられた。同時に、天皇平安の祈りを捧げるために預っていた、如意輪観音にょいりんかんのんの本尊も取上げられた。
かたちから見ますと、まあ如意輪観音にょいりんかんのんにちかいものかと思いますが。
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
一つは京都太秦うずまさの広隆寺の、胴体の細い弥勒像に似たものであり、もう一つはこの如意輪観音にょいりんかんのんに似たものである。いずれも朝鮮現存の遺品のうちの最も優れたものである。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)