奈何いかゞ)” の例文
今の噴火の景などは言ふに足らず。プリニウスのふみに見えたる九十六年の破裂は奈何いかゞなりけん。灰はコンスタンチノポリスにさへ降りしなり。
奈何いかゞでせう、精一杯なところを申上げて、五十五銭。へゝゝゝゝ。それでよろしかつたら御引取り申して置きやす。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
しかし諸子の見る所は奈何いかゞであるか。諸子はかくても猶籍を拙者の門下に置くことを厭はないかと云つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
只だ猶心に懸るは、恩人なる貴人あてびとの思ひ給はん程奈何いかゞなるべきといふ事なり。彼人はわれ舊に依りて羅馬にありてふみを讀めりとおもひ給ふならん。
遠方竹輿など被下候には及不申、此儀は堅御断申上候。但止宿之事は此節奈何いかゞ可有御坐、此は臨時之事と奉存候。此段匇匇奉答仕候。頓首。九月端五。松崎慊堂、伊沢長安様。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)