天児アマガツ)” の例文
形が同じである処から、同様な名前を附けたと見ることも出来るし、殊に、天児アマガツなどは祓除以外の神事の人形であることを見せてゐるものらしい。
雛祭りの話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
日本には、かなり古くから、天児アマガツ・お伽這子トギバウコの類を身近く据ゑて、穢禍を吸ひ取らせる、と言ふ考へはあつた様だ。人形を恐れる地方は、現在もある。
穢れを移す人形とは即、モノ形代カタシロ天児アマガツなどの名によつて呼ばれるものである。なる程、かう説明すると、上巳の節供と雛人形との関係、延いては淡島との聯絡もつかう。
雛祭りの話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
勿論、平安朝頃の上流の女たちの玩び物にはモノ形代カタシロ天児アマガツなどいふ名で呼ばれた人形はあつたのであらうが、祓除の穢れを移す人形を、其儘、玩具にしたとはいへない。
雛祭りの話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
穢れを移す人形とは、でもの・形代カタシロ天児アマガツなどの名によつて呼ばれるものである。此は、別のものに代理させる、と言ふ考へから出て居る。或は、道教の影響が這入つて居るとも思はれる。
だが、人形の起原を単に、此穢れ移しの形代・天児アマガツ這子ハフコの類にばかりは、かづけられない。人形ニンギヤウを弄ぶ風の出来た原因は、此座右・床頭の偶像から、まづ糸口がついたとだけは言はれよう。
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)