大燒痕おほやけど)” の例文
新字:大焼痕
ガラツ八の手の中に、一と握りになつたのは、見る影もない女、跛足びつこ大燒痕おほやけどの、あの下女のおゑつだつたのです。
下つ引二三人を狩り出して、大骨折で縛つたのは、何んと大燒痕おほやけどの和吉、と美しい女太夫のお紋だつたのです。
「女を撫斬なでぎりにするのを、美男で大通の自分の役得のやうに思つて居たのだよ。あれは本當のところは男の屑さ、大燒痕おほやけどの下女に追ひ廻されりや世話はない」
擧げた顏を見ると左半分の大燒痕おほやけどで、右半面の好い男が、恐ろしくグロテスクに見えます。
外には和吉といふ口上言ひが一人、これは三十前後のちよいと好い男ですが、色白の額から左の頬へかけて、大燒痕おほやけどが凄まじく、引つ釣に膏藥かうやくなどをつた、見る影もない人相です。
唐臼からうすを踏むやうな大跛足おほちんばで、澁紙色の顏には、左の頬からびんへかけて、大燒痕おほやけどの引つつりがある上、髮は玉蜀黍たうもろこしの毛のやうな女——、年こそ三十前後ですが、これは又あまりに痛々しい不容貌きりやうです。