大岳たいがく)” の例文
わけて、こがらしの吹きすさぶ夜は、大岳たいがくの木の葉が、御簾ぎょれんのあたりを打ッて、ともしのささえようすらないのであった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、大岳たいがくの鐘を鳴らして、嗷訴ごうその気勢をあげるやら、造営奉行の高ノ師直の屋敷へ押しかけて、石を投じたり、落書するなど、物情騒然のうちに年も暮れた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
稀に、大岳たいがくを踏んで、自然に接し、気を洗うのは、何よりの心養、またおからだの薬です。……お見うけするところ、ひと頃よりは、心身ともおつかれのていに見うけられる。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つぎの日、洪は暁天に旅館を立ち、州門から八十支里(六町=一里)もある西南の大岳たいがくを望んで行った。案内の州役人らの次に、彼は山輿やまごしにゆられ、部下百騎は勅使旗をささげていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)