大仏おさらぎ)” の例文
旧字:大佛
登子のいとこ、駿河するが太郎重時しげとき、兄の赤橋将監英時あかばししょうげんひでときはじめ、塩田、桜田、大仏おさらぎ、名越など、いずれもゆゆしい身寄りばかりである。こもごも
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちょうど大仏おさらぎ次郎氏の『赤穂浪士』が日本の大衆文学界で人気を集めたのもこれと似ている。氏はこの作において、大衆文芸の従来のレベルを少し高めて、それに芸術性と現実性とを与えた。
ヴアン・ダインの作風 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
と、大仏おさらぎ陸奥守が素早く目付け、胆をつぶしたようにそう云った。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
というよりも、阿曾あそ、長崎、大仏おさらぎ、二階堂の諸大将二万余騎ともいわれるここの大軍は、千早の城ただひとつに、意地でもとする攻略の妄念に吸いつけられていたのだろう。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
探偵小説における江戸川乱歩氏と大衆小説における大仏おさらぎ次郎氏とはある一点において共通したところがある。両氏ともにその作品に「芸術的」要素をとりいれようとしている点がそれである。
乱歩氏の諸作 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
館の廻廊を別殿べつどのの方へ、大仏おさらぎ陸奥守は歩いていた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、中御所へは、一族の名越、普恩寺ふおんじ、赤橋、大仏おさらぎ、江馬、金沢、常葉ときわなどの、日ごろには営中に見えない門族の顔やら、四職の閣老すべて、高時の台下に、席次ただしくつめかけていた。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『赤穂浪士』三巻を完成し、『ごろつき船』を出し、『由井正雪』『からす組』その他その他、と引きつづき大作を発表している大仏おさらぎ次郎が、ひとり大衆文学界の寵を独占していた観がある。
昭和四年の文壇の概観 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
極楽寺坂の敵の主将は、大仏おさらぎ陸奥守貞直さだなおだった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)