外法頭げほうあたま)” の例文
八坂の山中に光といえばこの細殿の燈台の灯だけであろうが、その灯は風にあおられながら泰文の異形の外法頭げほうあたまをしみじみと照していた。
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
昔は多くは或る呪詛を施した動物の頭蓋骨や、時としては所謂外法頭げほうあたまの人の頭蓋骨を秘蔵して、それに祈って第三者に災いを与えるという思想の方が多かったものの様である。
その後になっても外法頭げほうあたまという語はあって、福禄寿ふくろくじゅのような頭を、今でも多分京阪地方では外法頭というだろう、東京にも明治頃までは、下駄の形の称に外法というのがあった。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
鳥の面をした異形いぎょう鬼魅きみ外法頭げほうあたまとか、青女あおおんなとか、怪物あやしものが横行濶歩する天狗魔道界の全盛時代で、極端に冥罰や恠異を恐れたので、それやこそ、忠文の死霊の祟りだということになった。
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)