堅肉かたじし)” の例文
愛子は何事の起こったかを露知らぬような顔をして、男の肉感をそそるような堅肉かたじしの肉体を美しく折り曲げて、雪白せっぱくのシャツを手に取り上げるのだった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
しかも堅肉かたじしなおすゑはむしろ冷たいほどがつしりした肉體をもつてゐるにくらべて、吹きよせられた秋の蚊のやうな病的な、何といふ蒼褪めた氣の毒な女であらう。今夜はかへらう。
蒼白き巣窟 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)