土壇テラッス)” の例文
こちらの土壇テラッスに向った大きな硝子扉ケースメントのそばには、気むずかしい顔をした学者らしい四人の青年が、途方に暮れたようすで椅子に掛けている。
ニュウグランドの土壇テラッスで、ピエールさんと二人っきりで話しているところを見てから、急によそよそしくなってしまった。
キャラコさん:05 鴎 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
訳すと、「墓地展望亭ぼちてんぼうてい」ということにでもなろうか。なるほど、そこの土壇テラッスの椅子に坐ると、居ながらにして、眼の下に墓地の全景を見渡すことが出来る。
墓地展望亭 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
土壇テラッスへ出てゆくと、片かげの薄闇の中に、竜太郎の揺椅子ロッキングチェヤにひとりの婦人が掛けて、しずかに海を眺めていた。
墓地展望亭 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
階下した土壇テラッスで飯を食っていますと、ゴイゴロフという肺病やみの露西亜ロシア人が、わたしのそばへやって来て、オイ、二階の先生、景気はいいか、というから、いや
犂氏の友情 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それは、海沿いの長い土壇テラッスの端にただ一脚だけ離れて置かれ、大きな竜舌蘭アローエズの鉢植が樹牆のようにその周りを取巻いていて、ちょうど鴨池の伏せ場のようになっている。
墓地展望亭 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
町役所の土壇テラッスに持ち出された大眺望鏡を十重二十はた重に取り囲んだ群集が、いずれも殺気だった面持で虚空をみつめているので、日ごろ物見高いコン吉はたちまち活況を呈してそっちへ駆け寄り
風もないのに、土壇テラッスで何かゴトゴトいう物音がきこえる。