囲繞とりかこ)” の例文
旧字:圍繞
そうして夫れは事が破れて、江戸は品川八ツ山下の御殿で、多くの捕吏ほり囲繞とりかこまれ、腹を掻っ切ったその時まで、彼の心を捉えたのである。
首頂戴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
夕方になって彼女は幸福そうに多くの客に囲繞とりかこまれて、はしゃぎ廻っていたが、何を思ったか彼女はふと十年も通らぬ広間へ這入はいって見たくなった。
怪談綺談 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「へい左様でございますよ。……それから、侍を囲繞とりかこんで、霊岸島の方へ行きましたので」
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そこには二個所焚火があり癩患者がそれを囲繞とりかこみ、動物のように蠢めいていた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)