囈言うはごと)” の例文
頭が呆けて、何を言つても解らず、又他人にも聞きとれない囈言うはごとを洩らし、突然手を伸して頭のまはりの空気を掻き集めるやうな格好をした。
鳥羽家の子供 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
『ほんとに、大層およろこびになりましてね、まア、よく来てくれたと云つて囈言うはごとにまで仰しやるのでした——』
丁度夏の夜が早くも東明しのゝめにならうとする頃、熱の爲に浮されて囈言うはごとを云ひながらも、うと/\と眠つてゐたY子は、突然はつきり眼をあいてとこの上に起き上つた。
実験室 (旧字旧仮名) / 有島武郎(著)
ハイネは静夜の星を仰いで蒼空に於ける金のびやうと言つたが、天文学者はこれを詩人の囈言うはごととして一笑に付するであらうが、星の真相はかへつてこの一句の中に現はれてゐるかも知れない。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)