嘔吐はきけ)” の例文
食べ物の工合も変って来たし、飯を食べると、後から嘔吐はきけを催すことも間々あった。母親にただしてみると、母親もどちらとも決しかねて、首をかしげていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
石灰いしばいかな?」と呟きながら、指に付けて嗅いで見て、彼はアッと声を上げた。強い臭気が鼻を刺し、脳の奥までみ込んだからで、嘔吐はきけを催させるその悪臭は、なんとも云えず不快であった。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ほかの者も怪しんで鏡にむかうと、皆その通りであるので、驚いて倒れる者もあり、嘔吐はきけを催す者もあった。最後の一人は恐れて我が姿を照らさず、その鏡を取って再び水中に投げ込んでしまった。