吉三郎きちさぶろう)” の例文
次は主人の弟吉三郎きちさぶろう、二十五歳の冷飯食いで、家中の不人気と気むずかしさを、一人で引受けたような男でした。
何と云っていいかわからないでただもうおへ入ったときのようにじっとしていましたら先生がむちをって立って「では吉三郎きちさぶろうさんと慶助けいすけさんと出て黒板こくばんへ書いて下さい。」
みじかい木ぺん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
呼んでいる声は吉三郎きちさぶろうという年輩の坑夫であったが、この男はかつて一度、この山で大爆発があった際に、坑底で吹き飛ばされて死んだつもりでいたのが、間もなく息を吹き返してみると
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
理学博士武田久吉たけだひさよし君からの返翰によれば、「御下問の件小生自身何の経験も御座いません」とて、岡村金太郎おかむらきんたろう博士の『海藻と人生』と遠藤吉三郎きちさぶろう博士の『海産植物学』とを引用して報ぜられた。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
経師屋きょうじや吉三郎きちさぶろう——てんで、とんだ二枚目さ、へッへッへッ」
「浜町の吉三郎きちさぶろう、——遊び人で」