印南いなみ)” の例文
おかげで渡舟わたしはすぐ着いた感じだ。印南いなみの春は、麦の青、菜の花の黄、まっ平らな沃野よくやだが、すぐそこが宿場だし、さらに西にも川が望まれる。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
香具かぐ山と耳成みみなし山と会ひしとき立ちて見に来し印南いなみ国原」(巻一・一四)という歌にも、この客観的な荘厳があったが、あれは伝説を歌ったので
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
皇子宗良の一行は、播磨はりま印南いなみのわびしげな一宿場、野口ノ里の教信院という念仏道場をその宿所としていた。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
印南いなみ国原」、「厳橿いつかしが本」という種類でも、「月かたぶきぬ」、「加古の島見ゆ」、「家のあたり見ず」でも、また、詠歎の入っている、「見れど飽かぬかも」、「見れば悲しも」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)