南無観世音大菩薩なむかんぜおんだいぼさつ………助けさせたまえと、散策子は心のうち陣備じんぞなえ身構みがまえもこれにてこなになる。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
馬鹿ばかにし切ったような顔で、そっぽを向いて相槌あいづちを打ち、何もかも観音のお力にきまっていますさ、と小声で呟き、殊勝げに瞑目めいもくして南無観世音大菩薩なむかんぜおんだいぼさつとなえれば、やあ
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)