半狂人はんきちがい)” の例文
半狂人はんきちがいのように怒っていた城太郎がそう呟いたが、お通は胡桃の木から顔を離そうとしなかった。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その旨を半狂人はんきちがいのAに詳しく云い聞かせますと、そのまま北海道に引上げてしまいました。
キチガイ地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
大阪の親戚みよりの者で遊びにまいっていたのでございますが、そのうちに、ちと持病がありましてな、カーッと血を吐きましたもんで、それ以来、鬱々うつうつれきって、まあ半狂人はんきちがいというありさま。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その生命いのちの親様だったのです。谷山家の獅子身中の虫となって、私を半狂人はんきちがいになるまで苦しめ抜く計画を、冷静にめぐらしていたケダモノが、その新聞記者だったのです。……ええ……そうですね。
キチガイ地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)