十個とお)” の例文
そうして脇下まで捲れた袖から、ヌラヌラと白い腕を現わし、馬盥で、生首を洗っていた。生首はそれ一つだけではなく、その女の左右に、十個とおばかりも並んでいた。
鸚鵡蔵代首伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
へいお入来いでなさいまし是は何うも御免なさいまし、誠に有難う、其処そこに札が附いてます、一帖幾らとして有りますへい半紙は二十四文で、駿河するが半紙は十六文、メンチは十個とおで八文でげす
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
十個とおばかり貰った」と、権太郎は袂を重そうにぶらぶら振ってみせた。
半七捕物帳:06 半鐘の怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
とは云え汝の身と成って見れば、我を仇と狙うももっとも、勝負しようとなら勝負しよう。したが一つの相談がある。我の得物はこの飛礫つぶてじゃ。これを十個とおだけ打ち掛けようぞ。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)