北方きたかた)” の例文
西戸部にはむらさき組、大田町には臙脂組、北方きたかたにはコバルト組、それらの色とりどりが、伊勢佐木町いせざきちょうの夜景を、どんなに濃くすることか。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
南の方は馬借から北方きたかたの果まで、北方には特科隊が置いてあるので、好く知っている。そこで東の方へ、舟を砂の上に引き上げてある長浜の漁師村のはずれまで歩く。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
北方きたかた本郷ほんごうというところで、私たちは三ぞうの水車船を見た。また下流で二艘の同じような船を見た。船には家があり横の両側には二台ずつの軽い小板こいたの水車が廻っていた。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)