勝家かついえ)” の例文
勝家かついえ愚将ぐしょうではない、ましてや分別もじゅうぶんな年ごろ。のとうぜんに、やり場のない怒気どきが、うめきとなって口からもれる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
恐ろしい下克上の世の中だ……明智光秀には反骨がある。羽柴秀吉は猿智慧に過ぎない。柴田勝家かついえは思量に乏しい。世は容易に治まるまい……武田家は間もなく亡びるだろう。波多野秀治は滅亡した。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かねてから主君勝家かついえは、若年じゃくねんにおわし、しかも、孤立無援こりつむえんに立ちたもう伊那丸いなまるさまへ、よそながらご同情いたしておりました。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おおせにはござりますが、勝家かついえ一族が、ご当家を袋攻ふくろぜめにせん奇陣をくふうし、雪解ゆきどけとどうじに出陣の密策みっさくをさぐってまいりましたゆえ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
元亀げんき二年のときは宿将勝家かついえが負傷し、氏家卜全うじいえぼくぜんが戦死し、去年の出征には、部将の林新二郎以下たくさんな戦死があるなど、苦杯を喫しつづけて来た敵である。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)