刃尖はさき)” の例文
再びすそひるがえるのは、柄長き薙刀の刃尖はさきである。その稲妻が、雨のごとき冷汗をとおして、再び光った。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうして、見るからに外国製らしい銀色の十字型の短刀を夫人から渡されると、その冴切さえきった刃尖はさきを頭の上のシャンデリヤに向けながら、大笑いした自分の声を、今でもハッキリと記憶している。
けむりを吐かぬ煙突 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
踏みぐくめつつも乱れたすそに、細く白々と鳥の羽のような軽い白足袋の爪尖つまさきが震えたが、半身を扉に持たせ、半ばを取縋とりすがって、柄を高くついた、その薙刀がさかさまで……刃尖はさきが爪先を切ろうとしている。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)