と云うものはすべ是等これらの現象界の奥に自己の本体はあって、此流俗と浮沈するのは徹底に浮沈するのではない。しばらく冗談半分じょうだんはんぶんに浮沈して居るのである。
高浜虚子著『鶏頭』序 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
神尾様のところへ二三日逗留とうりゅうしている間、殿様が冗談半分じょうだんはんぶんに、山崎、この盤へひとつ印をつけてみろとおっしゃると、よし来たと言って笑いながら、仲間ちゅうげんの持っていた六尺棒を借りて
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それは今から解釈して見ても冗談半分じょうだんはんぶんの訓戒に過ぎなかった。しかしもしそれをここで真面目まじめ一式な文句に転倒するものがあるとすれば、その作者はお秀であった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼は冗談半分じょうだんはんぶんに夫人をあしらう事なら幾通いくとおりでもできた。しかし真面目まじめに改まった、責任のある答を、夫人の気に入るような形で与えようとすると、その答はけっしてそうすらすら出て来なかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
やっと安心した津田は、立上りながらわざと冗談半分じょうだんはんぶん駄目だめを押した。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)